新しい生活様式?

 今年のお正月は、「新たな年を迎えたぞ!」という気持ちの切り替えもなく、あっという間に2月も半ばになっている。新型コロナウィルスがあっという間に広まり、私たちは新しい生活様式を余儀なくされた。

 会議や講義はリモート。会食は普段一緒の人と4人以下で。テイクアウトやデリバリーの活用。買い物は込み合う時間帯を避けて。外出時は、いや下手したら家庭内でもマスク着用。合気道の稽古も感染状況に応じて剣や杖を使用した非接触型稽古・・・等々。宮崎県で放送されているテレビ番組で「ふれあわない旅」という今までの常識を覆すタイトルを見た時は、思わず笑ってしまった。

 リモートを活用した講義は、機器があればその場で気軽に参加できるから無駄が省けていいなと思うが、合気道の場合は(それ以外の講義もそうかも知れないが)実際にその場に行かないと絶対に感じられない緊張感や空気感がある。特に、やっと時間をつくって参加できた講義は学び取って帰りたいという気持ちが強くなり、先生の一言一言、稽古の一瞬一瞬がこの上なく貴重な体験となる。

 野中師範の著書の中で「朝聞道夕死可矣」という文に出会った。最近はコロナでなかなか行き来もままならないけど、小林市から都城市に通じる県道を車で走らせていると、昔の人は(例えば幕末の志士とか)、今よりずっと悪路だったと思われるこの道を、新しい知識を取り入れるために、死すことも顧みずにせっせと行き来していたのかなあ・・・と思うことがある。

 新型コロナウィルスで便利になった部分もたくさんあるけど、無事終息したら、たまにはあえて無駄な時間や労力を費やして人とのふれあいや貴重な体験を得たいなあと思う。

都城合気道錬成会 都島道場小林教室担当 伊達